「ゆるストイック」が合わなかった理由を真剣に考える

2025年2月に発売されて、1ヶ月で5万部突破!
本日(2025年3月31日)現在、Amazonでカテゴリ1位!
と好調な一冊ですが、すみません、わたしには合いませんでした…という内容です。

ということで、この先は「なぜ自分には合わなかったのか」を深掘りする反省会場が始まりますので、本書が好きで影響された!という方には面白くない内容が続くかもしれません。
自分に合っているか否かでカテゴリ分けしてブログを書いているのですが、★が少ない=自分には合わないものほど、そしてそれをわざわざブログに書くが故に、長くなりがちです)

ご注意ください…!

💡結論💡
合わなかったのは、わたしが本書に求めていたもの・期待していたことと、実際に書かれている内容に乖離があったから。 ⇨ 小説以外の本は、前書きや目次、中をパラパラっと読んでから読むかどうかを決めよう、という学びを得ました。

読み始めた理由

表紙のいい感じのゆるさと、帯の『「隠れて努力できる人」が考えていること』という文字にひかれて。

仕事で疲弊しているものの、まだまだ自己成長を諦めたくない…何かするならこっそりやりたい…と思っていたわたしには、”ゆるストイック”なるものが合っているのでは?と直感的に思ったため。

本当に表紙と表面の帯のみの情報しか摂取していない状態で買いました。
(買うとなったら、あらゆる予備知識を排除して読みたいタイプなので)

読んでみた感想

本書って、誰向けの本なのかな?とまず思いました。
もしかしたらそれが本の中で明確になっていない(読み手に伝わってこない)のかもしれない。

疑問に思い、パラパラと読み返してみました。

結果として、一山当ててやると鼻息を荒くする20代で、自己実現を欲している人向け。
そして言い方が難しいのですが、「世の中、何かがおかしい・間違っている」「自分は不当な扱いを受けている」といった不満を持っている層に刺さるように、意図して書かれているのかな?と邪推寄りの推察に至りました。

理由は、まず冒頭に「そろそろ本気を出したい。けど、それがカッコ悪いのもわかっている。そんな複雑な感情を抱える、あなたへ。」とあること。
これは自戒も兼ねてだけど、そもそも本気を出すことは全くカッコ悪いことではないし、カッコ悪いと思ってしまうこと自体がむしろカッコ悪いはず。
本書では大谷翔平や藤井聡太、井上尚弥などが度々引き合いに出されるのだけど、誰も彼らの努力をカッコ悪いとは思いませんものな。(※わたしは有名人を記号として用いる際は呼び捨てにする派です)

もし書店でページを開いて最初のこの文章を読んでいたら、「おや?」と思って読むのをやめていたかもしれない。

もう少し、本書のターゲット層について考えてみます。
作中では「ゆるストイックな生き方を身につけて、成功しよう!」と語られるのですが、その”成功”事例はインスタントカメラのリバイバルや格闘家の朝倉未来、HIKAKINなどなど…。
普段本を読まない人、若年層に向けて親しみやすいように書いたのかな?という印象を受けた。

ゴリゴリに働いている人だったら、もうちょっと”成功=イノベーションを起こした企業や起業家”であったり、ゆるストイックの実践者の成功譚が知りたいところです。

なので、本書のターゲット層と、今回の読み手であるわたしに、そもそもの乖離があったのだな、と思ったのでした。

「タフな仕事をこなしながら、なおかつ自身の成長に向けてストイックになりたいが、さすがに無理だ…」と諦めかけて、諦めきれずに本書を手に取った他の30〜40代の会社員で、他に本書を読んでいる方がいたら、どう思ったのか気になるなぁ。

それから、本書は何を置いても「自己啓発本」であって、「tips / ハウツー本」でないことにも注意が必要ですね。

時代の流れを語り、どのように生きるかを語る人生訓であって、ゆるストイックになるための実践的な術を期待する人には向いていないと思う。

本著者の佐藤航陽さんを(前著などで)知っていて、彼の人生哲学に触れたいという方にはおすすめですね。

ちなみに本書で語られる「ゆるストイック」に求められるのは、独自性とタダ乗りとのこと。(詳細は後述します)

タダ乗りとは、既存のプラットフォーム(youtubeなど)に乗っかることを指しています。それもアリですね。

ただわたしが思うに、本当に必要なのは、「時代の先読み」では無かろうか。

あるムーブメントが起こって大きな波がグワっと来る時に、砂浜じゃなくて海に出ていましょうね、といういうか。
そして待ち構えたところに来た大きな波に乗って、高いところまで行く、みたいな。

なので、「タダ乗り」自体には納得なのだけど、わたしが知りたいのは先読みの方法、ムーブメントが起こる前兆の共通点や法則性であって、『YouTuberがみんな独自の配信プラットフォームを使っていたらこうはなっていないですよね』と言われても、猫ミームになってしまう。

(気がつけば、もうちょっと懐かしい)

多分、裏表紙の帯や導入部で、井上尚弥や大谷翔平、藤井聡太を持ち出したことがミスリードだったのだと思うんですよね。

きっと賢い著者や本を沢山作ってきた出版社の方々は、ミスリードであると分かった上で、意図的に用いているのだと思う。確かに効果的なんだけど、それは誠実ではないな、とわたしは感じるのでした。

自分の読み方がオカシイのか気になってGrokと会話した

冒頭の通り、自分の期待した内容と書かれている内容が違っているために、合わないな…何か違うな…とモヤモヤを抱えたまま読んでいたのですが、ホルモンバランスも狂っていたのか、読んでいてツッコミたくなる部分がまぁ多かった訳でして。

全ては取り上げませんが、これはもう、自分の読みが変なのかどうなのかを、客観的に誰かに判断してみたい!という気持ちが高じたので、Xに最近導入されたつよつよAIでお馴染みのGrokと問答してみました。

①Grok問答:ライドシェアについて

こうした「閉じられたコミュニティ」内で生活していると、自分たちの考えている課題は、「日本人全体もきっと課題に感じているはず」という錯覚に陥りがちです。 そのため、全国的に見れば人々の生活に直結しない政策を日本全体の課題だと誤認してしまい、結果として自分たち以外にはまったく刺さらない話を日本の重要な論点として訴えかけるという、不思議な現象が起きてしまいます。 彼らは、中間層・貧困層の人々が何に不満を感じ、何に不安を抱えているのか、そして彼らにどのような支援が求められているのかには無頓着です。 東京の豊かな人々の中では、ライドシェアや解雇規制緩和が盛り上がる一方で、地方では過疎化や産業衰退が進み、多くの日本人がインフレと物価高と増税に苦しみ、将来への不安を抱えながら生活しています。(p254)

内容に共感できないと、なんかこの、謎の断定口調も気になってくるんだよな…
それは一旦置いておいて、わたしの理解では、ライドシェアは裕福な都心部の人たちのためのものではなくて、地方における労働人口減に起因する産業課題、あるいは観光面での貢献も導入の意義だったはず。それが一つの側面でしか語られていないことが違和感でした。

ということで、Grokに聞いたら「まぁお前の言うことも分かるけど、実態は著者の言ってる通りの状況だよ?あんまり甘いことばっか言うなや?」とヨシヨシされました。(全文はリンクからどうぞ)

Grok問答:日本人の学力について

さらにショッキングなデータもあります。 実際には、多くの人の国語力や数学力は「小学校高学年のレベル」で止まっているという調査結果があるのです。(p259)

マジで!?と疑って(すみません)Grokにすぐ聞きました。
結果として、データとしてはその通りだが、実際の問題文とレベル設定の考え方を知ると、ちょっと誇張がすごいな?となりました。(全文はリンクから)

Grok問答:著者はどっちの立場から話しているのか?

しかし、その結果、知識社会に順応できない人々が置き去りにされ、彼らの不満や怒りが爆発する状況が生まれているのが現代です。 こうした不満や怒りは、知識社会を無邪気に推し進めてきた人々に向けられ、互いが互いの首を絞めるような構造が生まれています。 この分断の背後には、人間の「多様性」の存在があります。 人類はあらゆる環境の変化に適応できるように、多様性が担保されているという説があります。 それぞれ得意不得意があり、知識社会で活躍する才能を持つ人もいれば、戦国時代に活躍する才能を持っている人もいます。 いろいろなタイプがいる種のほうが環境の変化に強いのです。 しかし現実には、多くの人が「自分と他人は同じであるはずだ」という思い込みを抱えており、この思い込みが悲劇を生む要因となっています。異なる立場の人々を「愚かだ」と決めつけるのではなく、なぜ彼らがそのように考えるのか、その背景や理屈を探る努力をすることが重要です。 そこには必ず彼らなりの正しさがあり、理解すべき文脈が存在しているのです。 自分の正しさや価値観を絶対視せず、多様な視点を受け入れる柔軟性を持つことが、これからの時代を生き抜くカギとなります。 現代の分断は、知識社会における私たち人間の認識やコミュニケーション手段の違いがもたらしたものであり、それ自体は避けられない現象とも言えます。 しかし、原因を理解すれば、私たちはその分断を乗り越えることもできます。(p273)

長文の引用失礼します。
読んでいただいて、ん???と思わないでしょうか。

著者は社会的弱者側に立ち続けているなと感じてますよね。それ自体は構わないのですが、一方で”フラットに書いています感”もある気がして。
モヤモヤしたのでGrokにぶつけてみたところ「お前の言うことも一理あるって、言ってあげてもいいけど?」を一応勝ち取れたのでスッキリしました。(全文はリンクから)(これ、みなさんリンク先見れているのかな?)

いやぁ、それにしてもGrokちゃん、すごいですね。

わたしは他にも疑問が湧いたらAI(GrokかChatGPT)に聞くことが最近かなり多いのですが、おかげで能動的に読書が出来ているな…と思えています。
今度これはこれで記事書いてみようかなぁ。

5年後の自分に向けた覚書(要約の試み)

読書家の皆さんはそんなこと無いのかもしれませんが、わたしは読んだ本の内容をガッツリ忘れてしまうタイプでして。

だから記録のためにブログを書いているところもあるのですが、例えブログに書いたとしても、書いた感想=その時の気持ち・読んだ手応えは後から思い出せても、肝心の内容は忘れたままなんですよね。

ということで、ちゃんと内容も書いておこう!と、最近(今更)気持ちを新たにしました。

あくまで、一度本を読み切ったわたしが自分に向けて残す覚書的なものなので、読まずに読むと意味が分からない部分も多いと思います。

ファスト教養も良いですが、本当に気になるなら何事も実際に読んだ方が良いですよね。
一度読まれた方は、復習にご活用ください!

  • ゆるストイックとは、「自分に厳しくストイックでありながら、他者に自分の価値観を押し付けない柔軟さ」を兼ね備えた姿勢
  • 「現在」を正しく認識する
    • 格差は今後も広がる一方な時代、他者から厳しく指導される機会も減っていくトレンドの社会の中では、自分を律するストイックさと他人と違う考えを許容する寛容さを併せ持つことが強さになる (→本当かな?わたしだったら、そのストイックさから得たものを周りにシェアして、みんなで強くなっていく方がよほど好ましいけど。※直近でオードリー・タンの本を読んだ影響を受けている可能性)
  • 「思い込み」を理解する
    • 捨てるべき思い込み6つ
      • 世界は公正公平であること=努力は必ず報われること
      • 被害者意識=周りのせいにする
      • 自己責任論(産業革命の時代、権力者が労働者を使役するのに有効であった。働けば報われる、頑張ったから権力者になれた…)=責任は全て自分にある
      • ゼロリスク思考=リスクをゼロにして進める
      • ゼロ失敗思考=百発百中であるべき
      • ロジカルシンキング信仰(判断する人が持っている情報によってロジックは変わるもの)=合理的であれば正しい
  • 「努力・運・才能」の関係性を深く知る
    • 2022年のイグノーベル賞で語られた、「才能が支配する正規分布」と「運が左右するべき条則」の世界
      • 身長体重など、人間の統計は正規分布する
      • 世界の資産分布など、経済的な成功は上位数%がかなりの割合を占めるべき条則
      • 成功には運の要素がかなり強い
      • 成功のプロセスは、独自性(ユニークネス)×タダ乗り(フリーライド)
        • 時代によって独自性は変わるので、アイデアは有限だが独自性は無限
        • タダ乗りとは、すでに存在しているプラットフォーム(youtube…)に乗っかること (→本当かな?磨くべきは、タダ乗りすべき基盤や、時代の変化の一番初めを見抜く力なのでは?すぐに衰退する基盤に乗っかる方が危険に思えるけど。mixi2とか、clubhouseとか?)
  • 「自分」を知り、「自分」を変え続ける
    • ゆるストイックの実践のためには、まず独自性を磨くこと。そのためには、自分が活躍できるほどニッチな領域に絞り込むのが良い
    • 好きと得意を掛け合わせて領域を絞り込み、需要も見据える
    • 続けるための方法として、10回のうち2〜3回成功する程度の目標=本当にできないことはそもそも思いつかないので、思いつく限りの高難易度な目標を立てる(ギャンブルでは、のめり込ませるためにこの程度に勝率を設定している)
  • 「運」をコントロールする
    • 運をよくするには、多く試すこと。そもそも試さなければ当たらないので
      • 好きなことに没頭するクリエイタータイプ
      • 深く考えずに行動する起業家タイプ
      • 戦略的に試行をこなす投資家タイプ
  • 「分断」の時代に備える
    • 「両方とも正しい」が存在する時代。フィルターバブル(自分とまったく異なる立場の人々と接する機会が減ることで、今見えている世界が全てだと錯覚する現象)が存在することに注意が必要。SNSで見えている世界が全てじゃない。
  • 「今日」が人生最後のつもりで生きる

総じて、「ゆるストイック」の生き方を提唱しつつ、内容的にはそれと直接関係の無い or 関係の薄い話題の方がむしろ多いな…と感じられたことが、合わなかった理由なのかもしれない。
もっと具体的かつ実践的な、ゆるストイックに生きるためのtips(時間の管理とか、弱い心を叱咤激励する方法とか‥)を知りたかったので。

ただ、フィルターバブルの話と、Grokちゃんに詳細を教えてもらったPIAAC調査の話は、心に留めておこうと思った。”頭のイイ人”が考えた”これで全てがカイケツ”は、たいてい上手く行かない。

それにしても、Amazonで星4.5とは…まぁ、Amazonも著者にお友だちが沢山いて良レビューを最初にガッとつけてもらえたら初速がいい感じになって、初速がいい感じだとその後の売行きも良くて…と言う仕組みになっているらしいから、星を参考にしない方が良いのかな。

すっごい長文になってしまいましたが、最後までお読みいただき有難うございました…!