篠原匡「神山 地域再生の教科書」要約&覚書

神山まるごと高専ってご存知ですか?
起業家を育成するための高専が神山に2023年から開校したのですって。

わたしは”高専”と”工業高校”の違いすら元々知らなかったのですが、取引先の方から勧められたので本書を読んでみました。

内容は大きく3つの構成です。

①神山まるごと高専設立の舞台裏
②高専以外に神山で起こっているプロジェクトについて
③移住者へのインタビュー

これらを通して、
「なぜ神山では連続的にプロジェクトが起こるのか?」を明らかにしていきます。

要約するけど要約では何も伝わらないよ

「なぜ神山では連続的にプロジェクトが起こるのか?」について、わたしなりの理解は下記の通りでした。
※自分に向けた覚書なので、読みが全然違う可能性もあります。自己責任で!

・神山では1990年代から国際交流を住民主導で始めるなど、元々住民発意で新しいプロジェクトが起こる機運があった
・それは米国に留学後、神山で親の会社を継いだ社長(グリーンバレーの大南さん)やその友人らが、少しずつ自分たちの居心地を良くするために、”余白”(あいつら何かやってるな、と思われても放置される空気感)を作ってきたから
・この下地があるから、全員では無いにせよ地元民も新しい活動を許容し、移住者をして「適度に放っておいてくれる」と言わしめる環境が作り上げられてきた
・1999年から神山アーティスト・イン・レジデンスで癖強海外アーティストを受け入れてきたり、行政が希望する全戸に光ファイバーを敷設したことを背景として、神山ワーク・イン・レジデンスが興り、それがSansan神山ラボを始めとする企業サテライトオフィスの誘致につながり、一気に転入者・移住者が増えてきた
・それが神山の”多様性”につながり、多様な人が集まり自由に発想し、実現できる(しかも居住費を始めとする生活コストが都会に比べて著しく安い)環境が生まれている
・しかもそれを許容する空気感や、行政と住民のパワーバランス(行政の押し付けではなく、しかし高専の実現に向けて奮闘するなど、町のことを考えて本気で動いてくれる)があってこそのもの
・突き詰めれば、「不確実なものを前向きに楽しむマインド」が根付いているということ
・小さな活動が徐々に少しずつ良い循環を生み、回り出した循環がどんどん大きく、勝手に動き出す…という構図ができている。自律的に、連続的に、新しいプロジェクトが生まれていく

ということのようです。

ただ、この要旨を読んで満足しては、”本当のところ”は多分全然分からないのですよね。

かといって、本書を全部読んだから分かるものでもないだろうし、それじゃあと現地に行っても…全てが分かることは無いだろうし、突き詰めると”本当のところ”なんてどこにも無いのでしょうけれど。

少なくとも、神山の皆さんにはそれぞれの決断と、それぞれの苦労があって、それが堆積して今の姿になっていらっしゃる。
少なくとも本書には七転八倒の詳細や、地元の方・移住者の生の声は書いてある。
だからやっぱり、要旨を読むだけでは意味がなくて、実際に読まないと分からないものだと思うのです。

少しでも気になる方は、読んで損なしだと思います!

読んだ感想と、登場プロジェクト&人物覚書

著者も最後に書いていらっしゃったけど、神山はいっとき(2015年くらい?)すごく話題になって、多くの記事が書かれていました。

10年以上前から”これから来る”神山を取材して、そして”話題になった後の”神山をまた取材して、その比較が書けるのは本書の著者ならではのことだと思います。

なので、本書のテーマでもあった「なぜ神山ではプロジェクトが起こるのか?」への著者なりの結論は読んでいて納得がいくものでした。
再現性があるか?と言われると、わたしはちょっと難しいだろうな(属人によるところが大きくて、かつ高齢化が深刻になってしまった後では、
同じことは出来ないので)と正直感じてしまったのだけれど、それじゃ何もしなければ良い、という話でも無くて、ケースから学び活かしていくことを愚直にやるしかないよね、とも思います。

本書では多くのキーワードや人物が紹介されていてます。一つ一つの細かい解説は流石に無く、でも気になるものばかりだったので、自分用にメモ&リンク貼れるものは貼っておきました!

何かのご参考になりましたら。

最後までお読みいただきありがとうございました〜!