「カラオケ行こ!」漫画から映画、そして続編「ファミレス行こ!」まで

みなさん、映画「カラオケ行こ!」が大ヒットしていますが、
映画&原作、そして続編である「ファミレス行こ!」はもう履修されましたか?

わたしは先日、
40人限定の映画公開記念イベントで生綾野剛を浴びるという幸運を授かり、
「これは幸運を受け取ったものの使命である」と長文レポートを提出したのですが。

それはそれとして、
映画も原作もそれぞれの良さがあるよね……
ということ、
そしてファミレス行こ!の破壊力すごすぎるのですが!?
……ということを語りたい、書き留めたい、と思いまして、
今回はそれらについてくどくど書いてみたいと思います。

なお、わたしが和山先生作品に触れたのは
DMMブックスの超赤字企画(初回限定70%オフ上限100冊)の時に
漫画をまとめ買いした時でして、2021年3月のことでした。
そこで和山先生の才能に衝撃を受け
慌てて発売されている作品を買い集めていったので、
ファン歴としては新参者ではないけれど、
気合の入った先人たちには到底及ばない…という程度です。

まず漫画カラオケ行こ!について

原点にして頂点ですよね…。
誰が読んでも楽しめる作品だと思っているのですが、どうでしょうか。
昭和の漫画たちをリスペクトしたような劇画調のタッチや、
さりげない台詞回しの自然な面白さ、最高です。

ヤクザと中学生の奇妙な友情…の、友情からはみ出た”何か”を、
読み手がそれぞれの解釈で楽しめる余白も素晴らしい。
後に触れますが、わたしは本作が男性同士の恋愛…
いわゆるBL(ボーイズラブ)にカテゴライズされて欲しくない派閥なので、
この余白が本当に絶妙で素晴らしいと思うのです。

巨大感情は確かにある。
でもその気持ちを分類したり名前を付けなくてもいい。
形容し難いままでいい。そんな感じで。

(それはそれとして、同人誌として発売された時には
「ラブコメ」と和山先生ご本人がコメントされていらっしゃって、
確かにラブコメよな…!とも思います。BIG LOVEでしかない。
わたしは、LOVE≠恋愛だと思うというだけで)

とにかく、もし未だ漫画未読という方がいらっしゃったら本当に読んでみてほしいです。
もしかしたらお口に合わないかもしれないけど、
770円だから試しに読んでみていただきたい。
770円で買えるものの中で、おそらくもっとも価値があると思います。

そして映画カラオケ行こ!の解釈について

大好きな作品であるが故に、
映画化された作品を見に行くのは緊張しました。
どうしようもない作品になっていたらどうしよう…
綾野剛が狂児なのは大丈夫なのか…ビジュアル全然違うけど……
と不安でいっぱいでした。
山下監督のことも恐縮ながら存じ上げておらず。

しかし、しかしですね、めちゃくちゃ杞憂でした。

〜ここから映画のネタバレが続きますのでご注意ください!〜

もちろん見終わった直後には、
「和田のキャラちがいすぎでは?」
「副部長とか先生とか、オリキャラめちゃくちゃ出してくるじゃん…」
「原作のセリフ(シルバニアファミリーとか、令和のトシとか…!)が無かった悲しい」
「映画見る部って何!?」
「空港のシーン見たすぎたよ〜!」
「聡実くんの紅は、もっと圧倒的な歌唱力であってほしかったかな…いないかそんな子は…」
脳内大混乱でした。

ただ、
「綾野剛が狂児であった…というか、色気すごっ…」とは
何も分かっていない状態であっても強く思いました。
この映画をきっかけに綾野剛沼に飛び込んだ方も沢山いるようですが、
すごくお気持ちが分かります。
わたしは普段ドラマを見ないのでそうはならなかったけど、
もしドラマ好きだったらMIU404にどハマりしていたと思います。

鑑賞直後は戸惑いもありましたが、皆さんの感想を読み漁ったり、
インタビューを読むなどしてじっくり考えた結果、
映画版よかったな〜!となりました。

映画と漫画の比較

映画と漫画の大きな違いは、
聡実くんの成長にフォーカスを当てたところでしたね。

そして「ヤクザと中学生の奇妙な友情」からはみ出る部分を
丁寧に再構築していたこと。

「女も聡実くんも乗り心地がよろしいんでしょうなぁ」というえっちなセリフ。
(これ別に下ネタだと思わずに読んだのだけど、どうなんだろうか)
宇宙人の血を手のひらで受け止める描写。
買ってあげるものがイチゴであったこと。
(8月にイチゴは普通売っていない。イチゴは甘酸っぱい初恋の象徴…)

それから、漫画では画風も相まってファンタジーで
済まされていた”ヤクザと中学生が仲良し”というトンデモ設定が、
生きた人間が演じることによって醸し出される
生々しさによって崩されないか……ということや、
反社会的勢力の存在自体を肯定的に描かないこと……
にも配慮されているように思いました。

聡実くんの部活エピソードをふんだんに足すことで、狂児と聡実くんだけの世界にしない。
映画の狂児は遠足に行こうとする聡実くんを拉致しない。
(シルバニアファミリーみたいやなぁ!好きだったから残念ではあったけど)
映画の聡実くんは自分からカラオケに狂児を誘う。
ミナミ銀座は再開発され、ヤクザは居場所を奪われていく。

原作ファンも含め、どうか沢山の人に愛されるようにとの、
制作陣の願い……!しかと……!受け止めました……!
となりました。

一方で、原作も読んでいるわたしの友人やネットの感想では、
「やっぱり綾野剛はビジュアルが違う」との声もあり、
それはそうよね、とわたしも思いました。

綾野剛さんはすごい役者だなと感動しましたが、
それはそれとして、狂児のビジュアルはやはり原作が至高である。

合唱曲「影絵」の歌詞耳コピした

映画の魅力として、当然ながら音がついた!のもポイントでしたよね。

特に、わたしはもともと合唱曲好きでもあったので、
「心の瞳…!名曲キタ…!」と心の中でガッツポ決めましたし、
映画冒頭のコンクールで歌われていた曲は、
知らないながらも耳に残る曲だなと思いました。

影が濃くなる…天国なんかに住んだりしない…
何だか、「カラオケ行こ!」を象徴しているような気が…しなくもない…!
こうなってくると歌詞がもう気になるものの、
ググってもはっきりと出てこないのですよね、これが!
なので、youtubeで合唱が上がっているのを何回も聞いて、書き取ってみました。

※わたしが耳で聞いて書き取ったものなので漢字表現が異なったり、
聞き違えている可能性が高いです。ご承知おきください。

合唱曲「影絵」

影 暗闇 影が 暗闇が深くなる
影が濃くなる 暗闇が深くなる 影が濃くなる 濃くなる
影が濃くなるのは 太陽が強烈なせいだよ
暗闇が深くなるのは 眩しい光のせいだよ
手放しながら睨みつける 笑いながら悲しんでいる
途方に暮れながら胸を張る 戸惑いながら覚悟している
影が濃くなるのは 太陽が強烈なせいだよ
暗闇が深くなるのは 眩しい光のせいだよ
手放しながら睨みつける 笑いながら悲しんでいる
途方に暮れながら胸を張る 戸惑いながら覚悟している
光と影の両方に愛されながら 光と影 影と光の両方に愛されながら
逆光の中 いま 影のシルエットは命そのもの
天国は穏やかで平和ないいところらしいけど
神様が注ぐ永遠の光は 景色や物に影をこしらえないから
どんなに天気がいい日でも 影絵遊びができないんだ
だから僕は死んだって 天国なんかに住んだりしない 天国なんかに住んだりしない

https://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?id=545870

影が濃くなるのは太陽が強烈なせいだよ…?
なんですか?聡実くんと狂児のことですか?(混乱)
天国なんかに住んだりしない…?
聡実くんのことですか?暗闇(=狂児)が無いところだからですか??

脚本を書かれた野木先生がこの曲をお選びになったそうですが、
野木先生は大天才ですか?(それはそう)

ちなみに合唱曲の公式HPを参照しますと、以下のような記載がありました。

詩集『海のような大人になる』(覚和歌子・理論社刊)から4編を編んで構成された混声合唱組曲。身近な人や社会と相容れない思春期の心のモヤモヤを表出したテキストに、オリジナリティー豊かなハーモニーが絡み合う。作曲者は、その作品を絶賛する合唱指揮者が増えている個性豊かな和声感の持ち主。中学・高校・大学合唱団の定期演奏会やコンクール自由曲に最適。〈影絵〉は短縮版(4分25秒)での演奏も可能。
[難易度]中級 [対象]中学生・高校生・一般合唱団

https://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?id=545870

身近な人や社会と相容れない思春期の心のモヤモヤ…!
泣けてくる

ついにファミレス行こ。へ

恥ずかしながら「ファミレス行こ。」の存在を発売まで知らず、
X(Twitter)で流れてきて初めて知りました。
流れてきてくれて本当にありがとうございます。

ところで、X(Twitter)のアルゴリズムというか、
関心あるつぶやきを流してくれる力すごくないですか?
もうわたしのタイムライン、
狂児と聡実センセで埋め尽くされているのですが。

さて「ファミレス行こ。」初読後の感想は、
「カラオケ行こ!」で聡実くんの文集を読んだ女子と同じでした。
「な、なんやこれは」でした。

な、なんやこれは。

なんですかこの終始LOWなテンションは。
前作のぶっ飛び具合はどこに行ったのですか。

北条先生や森田さん、「タリスカーうまいよ!」丸山くんなど、
取り巻く人々はどれも愛おしく、淡々と進む中での台詞回しの面白さ、
あの人とあの人が繋がって…なストーリーの妙、
全てが素晴らしかったです。漫画がお上手すぎる。

しかし、しかしですよ。
狂児と聡実くんの関係を、一体我々はどう受け止めたらいいのですか!?

考え出すとキリがないと言いますか。
考えれば考えるほどモダモダすると言いますか…。

「カラオケ行こ!」を、わたしギャグ漫画だと受け止めて読んでいたのですよね。
”聡実”と刺青が入ったことも、
ハァそう来ましたかそりゃ聡実くんもドン引きしますわ
としか思わなかったのです。

それがですよ?
腕に聡実と入れた大阪の43歳の反社が、
25歳下の大学1年生と、
蒲田でモーニングしたり中華食べたり焼肉行ったり……

一体何なのですかその関係性はッッ!
そりゃ聡実くんも「狂児さんて蒲田でいつも何してるんですか?」(P103)と聞きますわ。

※「僕とご飯食べるだけ?」って、その可能性もあると思っている聡実くんがキュートすぎる。

え、これは””マジ””なのですか?
それじゃあれですか?
「カラオケ行こ!」の時から””マジ””だったのですか???
ギャグ漫画では無かったのですか??

となりました。

え?

生きてますか?ってLINEもらった途端にサイゼリアに現れて、
マサノリたちを余所にこっそりLINEして焼肉に誘うんですか??

そして焼肉の日、普段スーツなのにMA-1着て焼肉食べて、
その足で大阪戻るんですか??

“””マジ”””なのですか………?(困惑)

「ファミレス行こ。」本当に面白いです。
噛めば噛むほど味がする。

そしてX(Twitter)で繰り広げられる素晴らしい解釈や感想、
考察の数々によって、物語が厚みを増していくような気もしています。

「ファミレス行こ。」聡実くんの幸せには狂児がいてほしすぎるし、
そもそもこの漫画が永遠に続いてほしいすぎる。

ファミレス行こ!10話お読みになりました?

あまりにも9話が衝撃すぎたので、
もうこれは絶対に続きがすぐにでも読みたいなと思いまして、
初めてコミックビーム(本誌)を買いました。

※電子で単話もあるのですが、本誌の約1ヶ月後に発売なので、もう全然待ちきれないですよね。

〜この後10話のネタバレが続きます!コミックス派の方は絶対に進まないでください!〜

いやぁ〜〜
聡実くん、
「も ええわいったれ」
だったのですか!?
確認も!?

なんてことでしょうね。
きっと読者みんなが意図あっての確認だと思っていましたものね。
まさかの突発的な行動だったとは。

自分の気持ちの確認、
あるいは、刺青除去範囲の確認だと思っていました。わたし。

※狂児貯金は”聡実”の刺青を消させて狂児との関係を断ち切るためだと
考えていましたが、狂児の刺青全てを消して反社から抜けさせるためという
男気解釈を見かけていたため。

牛乳ちゃん(MANAちゃん?)の会話もぶっ刺さりまくりでしたね。
すごく察しが良くて賢い子だから、
もし岡ピが”親戚のおじさん”の話を既にしていたら、
その人とのことなんだなと気がついて、でもそっとしておいてくれるんだろうな。
いいお友だちができてよかったね…(ほろり)

11話は5月11日発売とのこと。生きる活力が湧いてきました。

最後までお読みいただき有難うございました…!
ちなみにこちらのブログ、普段は読んだ本の感想を垂れ流しています。
5段階評価でカテゴライズしたり、キーワードでタグ付けしたり、
少しでも本選びの参考になったら嬉しいなと思って書いています。
見てやっていただけたら嬉しいです!