超有名SF「動物農場」が思ってた話と違ったけど面白かった
ついに読みました、動物農場。
ディストピア文学が急に読みたくなって色々検索していた過程で、
(詳しくは下記の記事を参照)
有名SFとして紹介されていた本作。
読んでみたら……
_人人人人人人人人人人人人_
> おもてたんと違った! <
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思ってたのとは違ったけど、動物たちが大活躍☆な牧歌的な導入部から
気がつけば超絶ブラックでシニカルな恐ろしい世界に変わっていってしまう
ストーリーの妙がすごくて、「おお…怖面白い…皮肉がすごい…」と一気読みでした。
じわりじわりと、にじむように世界が変わっていって、
気がついたら取り返しのつかないところまで来てしまっていた。そんな怖さ。
ページ数も少なかったし、おとぎ話のような平易な文章だったので、
さらさらっと読めたのもよかったな。
超有名作品なので、これで明日から「動物農場?ナポレオンやばいっすよね🐖」といつでも言えます(ドヤ
ちなみにどんな話だと思っていたか
人間が動物の支配下に置かれ数十年が経った…
今や人間たちは動物たちに使役され、
動物に代わって農場での生産活動を強いられていた。
生まれた時から農場で暮らしているため、
なぜ人間と動物の立場が逆転したのかもうやむやになる中、
主人公とその仲間たちは、とあるきっかけでその秘密を知り、
動物からの支配脱却に向けて動き出すのだった…
みたいな話かと。笑
そして実際のお話は(あらすじ)
動物たちが飲んだくれの農場主を追い出して理想的な共和国を築こうとするが、
指導者の豚が独裁者と化し、恐怖政治へ変貌していく過程を描く。
スペイン内戦に自ら参加した体験を持つオーウェルが、
人間を豚や馬などの動物に見立てることで
20世紀前半に台頭した全体主義やスターリン主義への
痛烈な批判を寓話的に描いた物語。
というものでした。(サンキューウィキペディア!)
ディストピア文学と聞いて読み始めたわけですが、
確かにディストピアの概念をとてもよく表しているのかも。
比喩として。人間ではなく動物たちを使うことによって。
楽園に見せかけた搾取、覆せない階級社会と血の制裁、煽動と奪われた思考と自由。
動物が動物を家畜にしてしまう、そのおぞましさ。
寓話に見せかけることによって、より一層皮肉さが際立つ仕掛けになっているのかな。
よくできてるなあ!
これは話題になりますわ。
ストーリー(ネタバレますよ)と感想
かなり序盤で農場主を追い出すことに成功し、
動物たちは“七戒”と呼ばれる戒律を定めることに。
動物たちの平等を規定し、力を合わせて動物たちの楽園を作るべく、一致団結するためのルールたち。
(お酒は飲んではいけないとか、人間の物を使っちゃいけないとか)
そして動物たちは、人間に搾取されるためではなく、
自分たち自身のために働き始め、その喜びも合間って生活は豊かになっていく。
しかし、動物たちの知性の差(ブタが最も賢く、字が結局読めるようにならなかった動物たちもいる)から、
徐々に「利用するもの」「されるもの」の差が生まれ、
結局、一部の特権階級を手にしたブタとイヌ以外は、
人間たちに搾取されるよりも厳しい生活を強いられるようになってしまう。
この、賢いブタたちがあれこれ策を巡らせて自分たちの利益を得ていく様が、
嫌悪感と、「でもどこかで聞いたような話…」と思える感じとで、とにかくすごい。
例えば、羊たちにシュプレヒコールを上げさせることで(四本足はよい!二本足は悪い!)、動物たちの抗議の声を掻き消してしまう。
例えば、定めた七戒を巧妙に書き換えることで、約束事は違えないまま自分たちの利益を貪る。
例えば、動物農場に危機が発生した時、それを全て行方不明の政敵の仕掛けたことだと吹聴する。
例えば、凶暴なイヌたちを侍らせ、罪を犯した動物たちを大衆の前で処刑してしまう。
これに対し、利用される側の動物たちは「何か変だ…」と思いながらも、
支配しているブタに対して明確に反論することができず、
「これでも人間たちに支配されていた時よりかはマシな生活だ」
(ただし、みんなもう記憶が曖昧で、本当にそうだったかは誰も確信が持てない)
と言い聞かせ、結局は唯々諾々と従ってしまう。
訳者あとがきにも同様の記載があったけど、
そんな風に疑問も持たず、疑問を確かめず、放置してしまうのが一番駄目だ!
と、強く警鐘を鳴らされたように感じた。
政治的な発言は避けますが、翻ってみて自分はどうかな?きちんと自分の頭で考えているかな?
そう思わずにはいられなかった。
以下、訳者あとがきの引用です。
この『動物農場』を読んで、多くの人はそれが高圧的な独裁者(ブタ)たちに対する批判であり、動物たちはそれに翻弄されるだけのかわいそうな集団だと思っている。でも実は必ずしもそれだけではないのだ。オーウェルは、そのラジオドラマ化に際してのインタビューでこう発言している。
「このお話の教訓は、革命が大きな改善を実現するのは、大衆が目を開いて、指導者たちが仕事を終えたらそいつらをきちんと始末する方法を理解している場合だけだ、というものです」(P203より)
あと、この農場のモデルになったと言われている人物や現象がウィキに詳しく載ってました。
この辺の知識がもっとあったら、また違った面白さなんだろうけど、どうもこの辺疎くて…😥
ウィキペディア記事「動物農場」に色々載ってます
一番ひどくて印象的だったのは、やっぱりボクサー🐴の扱いだよね。
それまでは「ナポレオン(独裁者のブタ🐖)やるやんけ」程度に見てたのが、
「そんな…!わたしたちのボクサーになんて仕打ち…!」ってなったもんね。
かわいそうすぎる。
来世ももし馬だったら、よい飼い主に恵まれて、幸せになってね。