理瀬シリーズ外伝「麦の海に浮かぶ檻」をサクッと履修
ついに5月26日に理瀬シリーズ最新刊「薔薇のなかの蛇」が発売されますね、ヒューヒュー!
ツイッター情報によると、24日から書店に並び始めているようでした。
【もうすぐ配信】
— きんどう (@zoknd) May 24, 2021
薔薇のなかの蛇 Kindle版
恩田陸 (著) https://t.co/2vHrmdNgvt
17年ぶりのシリーズ続刊。ファンに届けばいいのですが
”変貌する少女。呪われた館の謎。「理瀬」シリーズ、17年ぶりの最新長編!” pic.twitter.com/jzBjV9ykKf
【新刊入荷】恩田 陸『薔薇のなかの蛇』講談社
— ジュンク堂書店池袋本店 文芸文庫担当 (@junkuike_bunbun) May 24, 2021
「理瀬」シリーズ、17年ぶりの最新長編が入荷!
英国へ留学中のリセは、友人のアリスから薔薇をかたどった館のパーティに招かれる。アリスの家族と交流を深めるリセ。折しもその近くでは、首と胴体が切断された遺体が見つかり… pic.twitter.com/rg4zmf2ENL
新刊発売を機に理瀬シリーズについてググっていたのですが、「麦の海に浮かぶ檻」という短編が2017年に発売されていたことを初めて知りました。
恩田陸さんの作品は(読まないとしても)チェックするようにしているのですが、全然気づかなかったです。ひっそりと発売されすぎている。
それもそのはず(?)、講談社タイガというレーベルから謎の館へようこそ 黒 というアンソロジーが出ており、そこに収録されている作品だったのです。
ざっくり作品紹介
「謎の館へようこそ 黒」の収録作品は以下の通りです。
はやみねかおる『思い出の館のショウシツ』
恩田 陸『麦の海に浮かぶ檻』
高田崇史『QED~ortus~ ―鬼神の社―』
綾崎 隼『時の館のエトワール』
白井智之『首無館の殺人』
井上真偽『囚人館の惨劇』
ちなみに、白も出ています。
白の収録作品はこちらです。
東川篤哉『陽奇館(仮)の密室』
一肇『銀とクスノキ ~青髭館殺人事件~』
古野まほろ『文化会館の殺人 ――Dのディスパリシオン』
青崎有吾『噤ヶ森の硝子屋敷』
周木 律『煙突館の実験的殺人』
澤村伊智『わたしのミステリーパレス』
気になる「麦の海に浮かぶ檻」ですが、30ページほどの短編なのでサクッと読むことができます。
位置付けとしては、理瀬シリーズの代表作(?)「麦の海に沈む果実」が始まる直前のお話でした。
関連作品含め、時系列で並べてみるとこのようになります。
◾️本編と外伝
睡蓮(「図書室の海」収録)
↓
麦の海に浮かぶ檻(「謎の館へようこそ 黒」収録)
↓
麦の海に沈む果実
↓
水晶の夜、翡翠の朝(「朝日のようにさわやかに」収録)
↓
黄昏の百合の骨
↓
薔薇のなかの蛇
---------
◾️関連作品
三月は深き紅の淵を
黒と茶の幻想
そうはいっても、「檻」は「果実」を読んでいることが前提に描かれているので、時系列通りに読もうとすると大変なことになってしまいます。ご注意くださいね。
個人的にこの読み方がアツい!と思うのはこちら。
◾️おすすめの読み方
麦の海に沈む果実
↓
三月は深き紅の淵を
↓
黒と茶の幻想
↓
睡蓮(「図書室の海」収録)
↓
黄昏の百合の骨
↓
薔薇のなかの蛇
残りの外伝2つはいつ読んでもいいと思います。(えっ急に投げやり)
さてさて本作「麦の海に浮かぶ檻」の感想ですが、へ〜そうなんだぁ〜…、これに尽きます。
いかんせん短いのであんまり思うことも少ないというか、欠けてたピースが埋まる訳でもなく、正直なところ読んでも読まなくても本編を楽しむのに差し支えはないなと思いました。
唯一ご案内するとしたら、校長推しなら読んだ方がいい、ということくらいだと思います。あっあと、鼎って素敵な名前ですね、ということくらいでしょうか。
作品を読まれた方の感想をネットでちょっと予習してから読んで見たのですが、概ね皆さんが書かれている通りだなと思いました。
「麦の海に浮かぶ檻」目当てで購入したので収録他作品はまだ読んでいないのですが、読んだらそっと更新しておくことにしますね。
以降は、「麦の海に浮かぶ檻」のネタバレを盛大に含んでいるので、未読の方はくれぐれもご注意ください。
未読ならそっ閉じ、ネタバレ感想
理瀬が入学する直前、彼女を迎え入れるためにそわそわしている校長が、回想に浸るところから始まります。
かつて学園にいた、逃亡を図った生徒について…ということで、麦海本編にも登場する姉弟の話かな?とワクワクしたのですが、始まったのは要(かなめ)と鼎(かなえ)という名前の、男女の双子のお話でした。
ちなみに鼎っていう文字、小籠包で有名な鼎泰豐(ディンタイフォン)でしか見たことないな?と思ったので調べてみたら、『古代中国で使われた三本足の鉄のかま』のことだそう。名付け親いかついな。
参考:漢字ペディア(https://www.kanjipedia.jp/kanji/0004982800)
二人きりのファミリーだったため新入生を心待ちにしていた要と鼎の前に現れたのは、美しく、無口で、接触恐怖症だというタマラ(ハーフの少女)が現れる。
最初はダマラの構うなオーラに圧倒される二人でしたが、徐々に鼎(女の子)はダマラと親交を深めていき、要(男の子)はその様子に、何か不吉な予感を覚える。
ある日、校長のお茶会に呼ばれた三人は、そこでダマラのティーカップだけ他のものと色が違うこと、そしてお茶を飲んだダマラの体調が急に悪化してしまう。
要と鼎は、校長がダマラに毒を盛っていると考えるが、その後も何故かダマラはお茶会に参加し続け、その度に寝込むことを繰り返す。
その様子に胸を痛めた鼎は、ある日ダマラに学園から逃亡することを提案するが、ダマラに強く拒絶されてしまう。
その後ダマラはお茶会で振舞われるお茶に口をつけないようにしたのか、お茶会参加後も体調を崩すことは無くなり、平穏な日々が暫く続く。
だがある日、要の元に校長が駆け込んでくる。要が目にしたのは、死んでいる鼎と、鼎に取りすがり泣き叫ぶダマラだった…
あっ、いかんいかん、内容を全部書いてしまうところだった。
流石に全部書いてしまうのはアレなのでこの後の真相・物語の仕掛けについては伏せますが、校長の秘密というかバックグラウンド、そして本名が分かってなるほどなという感じがしました。
うん、やっぱりへ〜そうなんだぁ〜以上の感想は出てこないなあ。笑
しかし、これで新刊を楽しむ準備はバッチリ整ったはずです。
(水晶…は読み返しきれなかったので、おいおい読みます)
「三月は深き紅の淵を」と「黒と茶の幻想」も読み返したのですが、図解とか美しい謎まとめたりとかやりたいことが沢山あって記事化に時間がかかっております…。しょんぼり。こちらもゆるゆる更新していきます。
最後までお読みいただき、有難うございました!新刊、一緒に楽しみましょうね☺